大人はみんな嫌いだ。




『裕太またおまえは10点か!いいかげんにしろ。周りをみろよ』


『おまえ本当にバカだよなw』


『ウケるw教えてあげよか?』



テスト返しの日が1番面白くない。









でも勉強ができないことは紛れもない事実。

どうせできないことなんてわかっている。


僕はバカだから...











『ええ。バカな息子で。どうもうちの子は不出来でね。』




うちへ帰るとまるで笑顔を貼り付けたような顔で愉快な話をする様に僕を蔑む父がいた。

父に対し一瞬憤りを感じたが憎めなかった。

皆と同じようにできないから。


僕が母さんを泣かせるから。


自分が悪いから。  




聞いていると、どうやら僕に家庭教師がつくらしい。


『テスト、見せてよ。』


家庭教師に言われ渋々見せた。






また怒られる。
バカにされる。
どんな大人も同じだ。




『あぁ。ココのさ...、基礎よくできてるじゃん!すごい!!』





へ?



『あのさ、好きなことなに?(笑)ゲームでもよき!』




『鬼術ってアニメ見ることだけど。』




『あぁ!あれ面白いよね。あのキャラさかっこいいよね!!裕太くんセンスいいね(笑)』





なんだこの先生。変なやつだな。



でも。僕でも認めてくれる大人なんていたんだ。




『コイツとなら少しは頑張れるかも』





家庭教師の授業はなぜか学校より、塾より早く時間が流れていく。






間違えても、わからなくても バカにしてこない。




『あ、わかんないとこあれば、LINEしてきて!答えるからw』




そこまでする丁寧さはどこから来ているのだろう。




勉強なんかキライなはずなのに思わず僕は




『うん!!』



自然と声が出ていた。




ほんのちょっとだけ頑張ってみよう。












『裕太!!おまえはまた...80点?』




『は?どうやったの?』



『裕太が?先生が点数間違えたんじゃないの?』





テスト返しの日が僕の1番好きな日になった。





実は僕。なんでも。
やればできるのかもしれない。


これから先も。




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